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3章 カロック 3節 かわいいものと女子会

 最近、傭兵団を騒がせる出来事が起きている。ハルクの戦績?確かに人間離れしてるけど、そんな色気のない話、傭兵しか相手にしないわ。
「ドウィンさん、救急セット入れ出来ましたよ!」
着せかえ人形になって以来、私の魔法の使い方は変わった。今日もマーガレットの花飾り付きグッズを持って、事務所のドアを開ける。
「お前、マリー、それはいくら何でも可愛すぎるんじゃないのか?」
いつも最初は難色を示すドウィンさんも、結局は私お手製のグッズを使ってくれる。今まで色々作った。最初はヘアピン、次にハンカチ、剣磨きにもお花をつけて、あと、そうそう、靴も作ったの。
「マリーだったのか……」
ハルクがほっとしたような顔で言った。
「何が」
敢えて聞くと、ハルクはおびえたように首を振った。そりゃ畏れ多くて聞けないでしょうよ。ドウィンさんに、どうしてお花のヘアピンつけるようになったのかなんて。

3章 カロック
3節 かわいいものと女子会

 事の始まりは一週間ほど前に遡る。
「また何かやらかしたの、ハルク?」
「マリー……うん……」
ハルクが雑貨屋の前で肩を落としていた。ノールチーフテンを倒し、氷の渓谷の巨大シロクマもあっという間に討伐し、コボルドとかいう魔族も殲滅したらしいけれど、その度誰かに怒られて落ち込んでいる。打たれ弱さは流石14才だ。
「アイリエさんに頼まれて、立ち入り禁止の平原までキノコ取りに行ったんだ。」
「そりゃ怒られるでしょ」
「断れなかったっていうか、一回断ったけど聞いてくれなかったんだよ……」
筋骨隆々の体のせいで、余計アルマジロみたいに見える。
「そうやってすぐ体丸めてシュンとなっちゃうから付け入られるの。男なら背筋のばしなさいよ、ほら!」
「え、あ、ちょ、マリー、だめ!」
何がだめ!だ。背中に膝蹴りを入れて肩を引っ張ると、咳込みながらハルクが前を向いた。と、何かがぽよんと飛び出てきた。
 それはぽよんぽよんと弾んで、地面を転がった。
「ぴっ!」
「はっ!?」
「だからだめだって言ったじゃないかああ!この子見つかったらドウィンさんに殺処分にされるよ!!」
ハルクが何かわめいている。けれど今それどころじゃない。このふわふわの生き物を抱きしめるのが先だ。羽だか腕だかわからないところの下に手を入れて持ち上げると、楕円形の瞳と目があった。そのふわふわの生き物が嬉しそうに手をばたばたさせる。
「ハルク、これ何!?お土産!?」
「ああもう、そういうことで良いよ!俺が捕まえてきたとだけは人に話すなよ!!」
『ねえねえ、お名前は?』
『ないの……独りぼっちだったの……』
「聞いてんのかマリー!」
ハルクが大声を出すので、無視しようが無くて睨む。
「そいつは平原で迷子になってた子供のグレムリンだ。大きくなったらとてもじゃないが可愛くないぞ。で、人と仲良くできるような生き物でもない。」
「別に良いじゃないの、私魔族だし。」
彼は肩をすくめた。
「お前開き直ってんな……じゃなくてだ!その子は魔族だ。お前と違って人型でもない。村人に受け入れられないと思うぞ。そのときに簡単に捨てたりするなよ!」
相変わらず根は天使のような少年だ。私が頷いてみせると、いぶかしげな表情で背を向けた。その瞬間、グレムリンが腕を飛び出し、ハルクの肩に着地する。ふわっふわの体を頬にすり寄せ、最後にキスすると、私の腕に戻ってきた。ハルクの心から鍋の蓋を落としたような音が聞こえた気がした。

 何はともあれ、こうして私はペットのムリンを飼い始めた。ムリン曰わく、戦争で親とはぐれ、平原をさまよっていたところをハルクに拾われたらしい。ドウィンさんにその話をすると、ひきつっているハルクの前で快く飼っていいと言ってくれた。ハルクがさらにひきつったのは言うまでもない。
「どうした、今日はえらくお洒落してんだな、マリー。そういえばベラも髪下ろしてたし、フィオナはいつもにまして可愛かったな……」
リシタの言葉で少しテンションが下がったが、今日は楽しみにしていたコレン女子会だ。ちゃんとドウィンさんも呼んである。もちろん、ドレスコード付き。
「女子会なの。」
「女子会?良いな面白そうで!男子会するかな……」
「むさ苦しくて絵にならないわ」
なんというか、とことん女心のわからない男だ。女子会はそこそこ着飾った女の子達がキャッキャウフフしているから楽しいんであって、汗臭い男が寄り集まって馬鹿笑いしていたって迷惑なだけだ。
「えー、でも男だって恋バナとかするぜ」
「男のは下ネタっていうの」
どうせ、フィオナの胸が一番柔らかそうだとかそういう話なんだ。
「そう言うなよ……なあ、マリー!フィオナの好きなタイプ聞いてきてくれよ!」
リシタのあまりにデリカシーの無い発言に、気づけば彼を氷漬けにしてしまっていた。
 当然の報いだ。私の気持ちに気付かずに、フィオナの好きなタイプを聞きたがるなんて。

 女子会には、コレンの女性を全員招いている。ドウィンさん、ケアラ、カースティー、クローダ、アイリエさん、フェネラさん、アネスト、ティイ、ベラ、フィオナ、そして私。みんな普段暑苦しい男に囲まれて嫌気がさしていたのか、集合時間30分前には広場に集まっていた。最後に来たドウィンさんは、私服の衝撃も大きかったけど、来る前にゲレンというゲスを蹴り飛ばすという衝撃のシーンを見せてくれた。
「やつは何とかならんのか。権力にだけヘコヘコする駄犬が。」
「いや、いまのドウィン様に言い寄らない男はいないと思います。」
ケアラが目をきらきらさせて言う。雄か雌かわからないムリンも参加しているけれど、こちらもピヨピヨ大興奮だ。
「お前まで何を言うか。」
「ええっ!?あの超怖い騎士様!?なにこれかわいい!」
クローダは全く遠慮を知らない物言いだが、こちらも私服のドウィンさんに食いついた。
「怖い……まあいい、どうした、私が私服を着たら変なのか。」
いつもの鎧で言われれば震え上がりそうでも、今の格好じゃ飛びつきたくなるだけだ。アイスグリーンのシンプルなワンピースだけれど、腰のリボンと襟のマーガレットがこの上なく可愛い。唯一残念なのは、普段と変わらないごっついブーツだ。
「超っ可愛いですドウィンさん!」
私が叫ぶと、ドウィンさんがふわっと笑った。
「そうか、似合っているか?」
「もちろん!」
ムリンもピヨピヨと騒ぐ。あっという間にドウィンさんはみんなに囲まれ、座らされた。
 この女子会、当初の目的はみんなでムリンを撫で回すことだったのに、もう主役はドウィンさんになっている。
「ドウィンって怖いだけの人だと思ってた!お洒落もするんだね!」
「さっきから怖い怖いと何なんだ……」
クローダは早速ドウィンさんいじりに興じている。
「そんな可愛い服どこで買ったのー?」
「し、しらない」
途端に顔が赤くなったドウィンさんにクローダにやにやと近付いた。
「えー、なんでー?」
「お前、気付いているくせに……頂いたんだ!」
「ほう、なかなかの色男だな。」
何故かノリが良くなったベラが目を細め、うつむいたドウィンさんの顎を持ち上げた。この人は困る。今日はベラはリボンタイの細身のスーツで……なんだか見てはいけないシーンに見えるくらい色っぽい。
「か、カダン様…が……」
ドウィンさんがオロオロしながら答える。どうも、こういう色仕掛けには慣れていないらしい。つくづく可愛い人だ。
 カダンって誰だろう。ドウィンさんが様付けすると言うことは、めちゃくちゃ偉い人に違いない。そんな事を考えていたから反応が遅れたのか、三秒程経ってクローダが叫んだ。
「ええーっ!カダン、ドウィンさんと付き合ってるのー!?ティイという存在がありながら!?」

「お前、カダン様を呼び捨てにするなど……!」
「騎士様、カダンは私とクローダの幼なじみなんです。許してあげて下さい。」
カダンが誰か知らないが、ドウィンさんが崇拝しているに近い人らしい。ティイ達の幼なじみだというが、それを聞いてドウィンさんは黙って頷いた。
「……そうか。なら良いだろう。クローダ、私がカダン様と恋仲になるなど、決してあり得ないことだ。カダン様からすれば侮辱に値するだろう……。」
そういつもの調子で言いつつ、ティイを見ている。
「前々から、心に決めたお相手がいらっしゃるのは気付いていた。コレンの巫女様のことだったのか。良き伴侶になるだろうな。」
「そ、そんな……騎士様だって……。」
ティイが目を泳がせた。
「この服のことが気になるのか。心配するな、私が武術にばかり明け暮れていたから、少しは女らしくしろと下さっただけのことだ。クローダが望むようなおとぎ話的展開はない。」
ドウィンさんが微笑んだ。片方の眉が寄っていて、嘘だとわかる。少し辛そうな笑顔だった。それにも気付かず明るい表情になったティイを魔女狩りのようにあぶり焼きにしてやりたくなったけれど、ドウィンさんが我慢したんだ、私は口は出せなかった。
 ただ、私はティイが嫌いだ。何故か知らない、ティイに特別悪いところがあるとは思わない。クローダの方が正直迷惑なのもわかっているけれど、何故か会ったときからティイが嫌いだ。本能的に。ドウィンさんは私みたいな子供じゃないから、その話はそこで終わりになって、後はムリンを愛でる会になったけれど、私はどうしてもドウィンさんの恋路が頭から離れなかった。
 お開きになってすぐ、私はドウィンさんの前に立った。
「どうした。」
いつものように優しいドウィンさん。少し気落ちしているのがわかる。私は空中にマーガレットの花を描いた。
「っ!?」
目を丸くするドウィンさんの前で、空中からマーガレットのヘアピンがきらきらと現れた。
「ドウィンさん、私、ドウィンさんの方応援しますから。」
「なにを言っている。どうしようにもないものはどうしようにもないんだ。」
すいっと指を振れば、ヘアピンはドウィンさんの髪に自ら留まった。
「カダンが誰か知らないけど、ティイを選ぶような見る目のない男はいいんです。ドウィンさん損してます!一生懸命戦ってるだけなのに、強いからって男が逃げてっちゃうなんて。それつけて、普段からお洒落して下さい。せっかく美人なのに!」
一気に吐き出すと、ドウィンさんは大きく目を見開いた後寂しそうに笑った。
「カダン様にも同じ事を言われた。美人が台無しだと。それで舞い上がっていた私の責任だ。」
「ティイよりドウィンさんの方が良い女だと思います!」
ドウィンさんがぽんと私の頭に手を置いた。
「お前の気持ちを無碍にはしたくないな。髪留めありがとう……お前の言うもっといい男を見つけることにしよう。」
いるとは思えないがな、という言葉に、思い切り首を振る。何故だろう。ティイと同じ感じで、その会ったこともないカダンという男は好きになれない気がした。

 それからというもの、私はあのワンピースに合う小物を作ってはドウィンさんに持って行っている。最初は靴だった。とても喜んでくれた。今日は救急セットだった。明日は何にしよう。
「マリー」
ふと見れば、カロックがいた。よくよく考えれば、釣りに行ったっきりまともに口を利いていない。
「サキュバスだと、受け入れたそうだな。」
ハルクから聞いた、とカロックが微笑む。
「なら、話しておかなければならないことがある。おいで。」
船が魚まみれになるが……と、カロックは船着き場へと歩き出した。



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コメント

待ってた!ちょう楽しみに待ってた!
ドウィンちゃん可愛いねえええええええ!!!
ティイ嫌い・カダンなんか好きになれなそう、とか、「うん、私も」って思いながら読んでたww

次回も楽しみに待ってるよー!!

わあい!まめさん!

次も連投でアップしちゃいました。
今は大学生春休みなので、かけてなかった分どんどん書きます!

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