スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

3章 カロック 2節 誰かのための魔法

 サキュバスの危険でエロティックな感じを表現してみたの!とクローダが出してきた服は、背中がもの凄く開いていて……フィオナとベラに即却下された。
「クローダ……マリーがこんな物着たら、宿屋に傭兵の血の雨が降るぞ」
ベラが剣の柄をぎりぎりと握りしめている。
「確かに、汚いおっさんの鼻血が床に着いたらティイが可哀想かも!」
「何言ってるの、鼻血なんか出させないわよ。」
フィオナがにっこり笑って剣を抜いた。
「不埒な目でマリーを見た奴は即粛正。」
見事に声をそろえた二人のせいで、私はなかなか気に入っていたその服は没になってしまった。

3章 カロック
2節 誰かのための魔法

 ベラが言っていた魔族の利点。それは私の見目麗しさだった。自分で言うのはなかなか恥ずかしい。
 サキュバスは、誰か愛しい人と死に別れた女性や、その相手の思いが積もり積もった時に生まれるらしい。生まれる目的はただ一つ、無事結ばれること。だからサキュバスや、男版のインキュバスは、誰から見ても美しい姿で生まれるという。折角可愛く生まれたなら、それで楽しまないと人生損するぞ、とベラが開けた部屋には、クローダとティイが山のような試作品とともに待っていた。そのほとんどが色々とやばいデザインだったけど。
「可愛かったらサキュバスでも何でもいいじゃん!ていうかさ、サキュバスってロマンチック!」
いつも通り単細胞なクローダのおかげで、今日ばかりは救われた気がした。

 フィオナとベラは何を着ても首を縦に振らなかった。
「スカートが短い」
「臍を出すな」
「胸が開きすぎだ」
「隠せばいいって物でもない。見えない方が興奮する輩もいる。」
私とクローダが同時に叫ぶ。
「さっきから可愛い服全部却下じゃん!」
「お前が可愛すぎるのが悪い。」
本末転倒だ。壁にもたれ掛かって、却下しながらベラがにやにや笑っている。スケベおやじはお前の事じゃないのか。
「えー、じゃあこれは?」
クローダがいささか不服そうに出してきたのは、ふりふりのスカートだった。
「スカート作ったときは可愛いって思ったの。でも、上がいまいちなんだよね……」
赤いスカートに、黒いケープ、腰は白いサッシュベルトだ。でも確かに、何かが足りない。そのかわり、スカートも短くないし、胸も開いていないし、腕だって隠してる健全さ。
「マリーが着たらなんでも可愛くなるんだよ。」
その健全さに満足したのか、ベラは服をとり、私の服を脱がせ始めた。最初は戸惑ったけど、もう十数着目だ。おとなしくマネキンになる。
「だろ、マリー?」
「私最初の背中開いてる奴がいい。」
「だめよ、あんなの着たら変なのが寄ってくるから。」
フィオナに万歳するよう言われて手を上げる。ずぽっとニットをかぶせられた。
「リシタとハルクが最初に粛正されることになってもいいのか?」
最後に帽子をかぶせられて、完成だ。ティイはベラの言葉に首を傾げた。
「リシタさんはそんな不埒な事考える方でしたか?」
「何気にハルクが除外されてるよね!」
クローダがケラケラ笑うのは放っておいて、鏡を見た。二人とも不埒な事なんて考えないだろう。この服、クローダの言うとおり可愛くない。せめてリボンがついていればいいのに。
 ちらりとクローダを見ると、ハルクが、思春期でエロいことしか考えてない談義に花を咲かせていた。今なら、ちょっと服をいじったって気づかれないはずだ。さすがに本人の前で服の改造するのは気が引ける。指でサッシュベルトに触れて、そのままリボンを結ぶように動かすとリボンがついた。中々良い出来だ。一個だけは寂しいから、いっぱいつけてしまおう。
「マリー、何してるの……?」
フィオナの声がしてはっと目を上げると、クローダが目を見開いている。
「ご、ごめん、クローダ。ちょっとリボンほしいなって……こだわりがあったなら戻すから……」
「なにそれすっごい!すごい!どうやってリボンつけたの!?あんな一瞬で!」
思いがけない言葉に思わずぽかんとしてしまった。
「錬金術か。大したもんだな。」
「誰に教わったんですか?」
ベラとティイに言われ、はたと気付く。普通、ほしいと思っただけでリボンなんて付かない。
「教わった……?」
「流石はサキュバス、王政魔術師も王政錬金術師も適わないわけだ。」
ベラはわしゃわしゃと頭をなでてきた。
「マリー、貴女が無意識にやったのは錬金術よ。誰に教わったかは覚えてないんでしょうけど、その人はきっと素敵な人で、貴女を愛していたのね。」
「錬金術師は偉そうな顔してるけどな、奴らは攻撃するための錬金術師か使えない。それも、せいぜい空気中の水蒸気を使って水鉄砲にするだとか、地中の鉱物を使って地面からとげを出すとか、その程度だ。お前は今、おそらく空気だけからリボンを作り出した……私はよく知らねえけど、一番難しい元素変換、ってのもやったんじゃねえのか?」
とにかく、とベラが笑う。
「リボンを無意識に作るなんて芸当、普通できないってことだよ。お前がそれを無意識にできるって事は……お前にその技を教えた奴は、よほど熱心にそういう使い方の錬金術を教え込んだんだろう。お前が戦争なんかに力を使わなくてすむ、幸せな未来を願ってな。」
あとは、お前にいつも可愛い格好させたかったのかもな。と優しい声で言われた。
 どんな人だったんだろう。私を生み出し、育ててくれた人は。ロリコンなんじゃねえのと冗談を言ったベラはフィオナに殴られていたけれど、今の私の15才程度の見た目からするに、その可能性も否めない。でも、物を持ち上げる魔法を教えてくれた、あの梯子で屋根に登っていた青年は、私を愛してくれていた。優しかったはずだ。
「どんな人だったの?イケメン?」
「もう、クローダったら……」
ティイに諫められてもクローダは止まらない。
「イケメンだよね!それで、可愛い恋人が蘇るのを、その綺麗な顔を歪ませて祈り続けるの!なんてロマンチック!」
この頭のねじが何本か飛んだような少女も、たまには良いかもしれないと思った。





クリックお願いします!

人気ブログランキング マビノギ英雄伝へ

花粉症かインフルエンザのせいで体調最悪です。
ベッドの中で携帯で書いたので短めです
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。