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3章 カロック 1節 大人気の秘密

 ハルクはチーフテンを討伐し、コレンは元の平和な村に戻った。リシタもちょっと吹っ切れたみたいで、もう私に敵意を向けてきたりしない。
「マリー、時間はあるか。」
私もカロックの巨体に慣れた。そんなある日のこと。
「釣りへ行こう。リシタとハルクがな、この間の戦いの疲れが取れないようだ。育ち盛りだから食う量が足りないのだろう。」
「それで魚を?肉の方が喜ぶんじゃない?」
「今は下手に出歩けば魔族に当たる。川なら大群では来ないしな。」
釣り、話には聞いたことがあるけれどやったことはない。面白そうだ。
「釣りする!でも、ハルクはあれ以上大きくなったら邪魔だし、リシタはもう伸びないんじゃないの?」
「二人ともコンプレックスみたいだから言ってやるなよ。」
カロックは低い声で笑うと、手招きして船着き場へ歩き出した。

3章 カロック
1節 大人気の秘密

 平和な状態に戻ると、些細なことに腹が立つようになる。
「もう、男ってあり得ない!」
「そう怒るなマリー。息をするようにナンパする奴らだ。適当にあしらっておけ。」
話したこともない不細工なくせにチャラい傭兵にナンパされること五回。宿から船着き場まで、200メートルもない距離でだ。
「不誠実よ!」
「思っていたより初なんだな。」
「どういう意味よ。娼館にいたからって阿婆擦れじゃないのよ!」
「そういう意味じゃないとも。それだけ可愛い顔なら、男に言い寄られるのにくらい慣れているかと思っていたんだがな。」
可愛いと言われて悪い気はしない。おまけに勝手に海中から船に飛び上がってくる妙な魚がいるおかげで、私は早速焼き魚にありつけていた。我ながらチョロすぎる早さで機嫌がよくなった私から、カロックが釣り竿を取り上げた。
「なに?」
「あまり時間を置くと、話しづらくなりそうな気がしてな。それに、これだけ飛び込んできてくれれば十分だろう。」
カロックが困ったように、生け簀にビチビチしている魚を放り込んだ。
「釣りに誘ったのは、まああの二人の腹を満たしてやる為でもあるが……お前に言っておかなければならないことがあったからだ。今からする話は、絶対に他言無用だ。」
「だから人のいない川にしたのね。」
うなずいたカロックは、私に隣に座るよう船の縁を叩いた。

 お願いだから私を川に落とすなよ、と言ってから、カロックが私の目をじっと見てきた。話しづらいって、何だろう。
「もう気づいているだろうマリー。自分があらゆる生き物を引きつけてしまう事に。」
「お魚以外来てほしくない奴ばっかね。」
「ああ……。」
カロックが大きく深呼吸して、目を閉じる。
「お前が本当に魔族だからだ。リシタの言いがかりではない。……薄々気付いていたんじゃないか?」
その声は優しかった。
「マリー……一つわかってくれ。私達は、リシタも含め、最初からお前が魔族だと知っていた。だから、今更態度を変えるつもりはない。」
でも何を言っているの?
「ただ、お前自身が何も知らないままなのは危険すぎると思ったのだ。お前はサキュバスがどういう存在かわかっていない。お前が誰に狙われているのか知らない。」
「ちょっと待ってよ。」
カロックが眉根を寄せて黙った。
「カロックまでそんな事言うの?やっとリシタが優しくしてくれるようになったのに!私は魔族なんかじゃない!」
「少しは人の話を聞け!」
大声を出されて、心臓が跳ねた。カロックは私を見て少し悲しそうな表情をしてから、また穏やかに話し始めた。
「マリー……確かに、些か無礼な物言いだった。すまない。」
「嫌だ、魔族なんて嫌」
彼の手がぽんと頭に乗る。
「先に私の話をしよう……。本当に魔族が悪なのか考えてほしい。……私はな、オーガと人間の混血種だ。魔族でも人でもないというのはそういうことだ。」
「混血……?」
「驚いただろう。交配ができるとは知らなかったか?確かに、ノールやらグレムリンやら、人型でないのとは無理なようだが……オーガ、ゴブリン、サキュバス、そういう人型の魔族とは人間は子供が作れるようだ。」
いろいろ新しい情報が多すぎて理解できない。まず、魔族と人間がどうして子供を作るの?ずっと戦争しているのに。
「まあ、聞け。私達ジャイアントは遙か昔、人間とオーガの間に生まれた。本当に昔だ。まだ戦争していなかった頃だ。何世代も前。知っての通り、私達は見た目が悪いし、オーガに比べると小さい。だからずっと、オーガと人間のハーフの間でしか子供を作らなかった。それがジャイアントだ。」
その前に、どうして魔族と夫婦になるの?
「納得できんか。」
「出来ない。魔族を愛したりするわけがない。」
カロックがふっと笑った。
「強情だな……マリー、それはお前を浚ったのが人間だと知ってもか?お前は何故魔族を憎む?」
記憶がなくなってしまったなら、最後にお前に危害を加えた人間を憎むべきだ……彼はそう言った。もし特別な理由がないまま魔族だけを憎んでいるなら、それは危険だと。
 確かに、魔族だけを恨む理由なんてなかった。でも、魔族は人に害をなす。
「魔族は人間を殺すじゃないの。カロックの村も、リシタの村も、魔族に襲われたんでしょう?」
「……アイダン隊長が、魔族の村を一つ、一人で壊滅させたことを知っているか。妻子を殺された恨みからだったが……何の関係もない種族の村だったそうだ。」
「……」
「魔族を愛せとは言わない。それは私も無理だ。だが、マリー……。自分がサキュバスである事は受け入れるんだ。」
「……嫌よ」
カロックが深いため息をつく。
「手遅れになる前に、気付くことだ。何が正しくて何が間違いなのか。自分のすべき事は何かにな。」
 
 もう無理なのかもしれない。見て見ぬ振りをしたことはいっぱいある。毎日毎日シャワーの度に見るお尻の妙な文字。教わった記憶さえないのに、騎士団のヒーラーを上回った魔力。あらゆる生き物を引き寄せる力。人間ならあり得ないことだった。でも、体に染み着いた魔族への憎しみは、どうやって消せばいいかわからない。
 川から戻った私とカロックが口を利かないのを見て、ベラは困ったように笑った。
「まあ、あのリシタの育ての親じゃ、女の子を傷つけないように話すのは無理だってわかってたさ。」
カロックが一言、すまないと言って宿に入った。
「マリー、びっくりしただろ?」
ベラは少しかがんで、私をのぞき込んできた。ベラも知ってたんだ。思わず目をそらしてしまう。
「悪いな、私もフィオナも言いづらかったんだよ。マリーが魔族を心底嫌っているから……あれでもカロックなりの優しさだ、わかってやってくれよ?」
ベラがぐしゃぐしゃと私の頭をなでる。
「ベラは魔族が嫌いじゃないの?」
ベラが一瞬目を丸くした後、何かに頷いて微笑んだ。
「あー、別に?記憶喪失になったら、魔族のことも人間のことも何も覚えてなくってさ。逆にマリーは、何で魔族が嫌いなんだ?」
「それカロックにも言われたの」
目を上げると、ベラはにこっと笑った。
「で、答えは?」
「知らない」
「私にはわかるけどなあ、マリー?」
そんなわけない。私にもわからないのに。どうせ先入観だ何だと言うに決まってる。
「マリー、よーく思い出してみろ……」
嫌だという意味を込めて首を傾げると、ベラがいつものように笑う。
「反抗期かなーマリーちゃん?」
「違う」
「じゃあ思い出せ。今持ってる一番最初の記憶だ……マリー、魔族を悪いものだと『思い出した』のは、リシタに魔族だって罵られたからじゃねえか?お前は化け物に襲われたとは思っていたんだ。でも、それが魔族に結びついたのは……自分と似た形の生き物に、魔族だから敵だと言われたからだろう?でなければ、お前を監禁していた人間の方を憎むのが当然なんだ。どうだ?」
 言われてみれば、そうかもしれない。何となく、小さい頃の近所のおばさんの話を覚えている気がしなくもないけれど……その前に、私は二足歩行の犬がノールだということも知らなかったんだ。
「どうだ、なんとなく気持ちがほぐれたか?そしてお前が頑なに魔族を嫌うことになったのは……自分が魔族なのが嫌なのは、魔族だと人間に嫌われるからじゃないのか?」
さっき、私に魔族が嫌いじゃないのか聞いただろう?と言って、ベラは宿屋を指した。
「答えはもちろん、嫌いじゃない、だ。嫌いだったらリシタと同じように、見た瞬間斬り殺そうとしてるさ。さ、帰るぞ。」
ついて行こうとしたけれど、足が動かない。
「リシタは!他の人は!」
そんな言葉が口から出た。私が魔族だったら、きっともう、この村にはいられない。娼館に閉じこめられたのだって説明が付く。魔族だったからなんだ。
「魔族が憎いって、みんな口だけだ。そもそも奴らは、まだ魔族との戦争で死ぬのを怖がってる位なんだからな……。そんな奴らがお前に何かするようなら、私とフィオナが許さねえよ。リシタなら、もう完全にマリーに絆されてるぜ、安全だ。」
ベラは腕を広げた。
「一番問題なのはお前だ、マリー。結構魔族もいいもんだって教えてやるよ。おいで。」
そろそろと近付く。宿に入った途端、殺されたりしないだろうか。
「何ビビってんだ。」
ベラはつかつかと歩いてきて、私を抱き上げた。前々から思ってはいたけど……この人そこらの男よりかっこいい。私がちょっとときめいている間に、ベラは宿に入ってしまった。


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二次元いらない

ご無沙汰しております。
三章カロック一節書き終わりましたので、おうちに帰ったらあげますね!

タイトルは何のことかというと…

友達と生徒が可愛すぎて生きるのが幸せ!

まずは友達編
超童顔
大学二回でありながら中学生にしか見えない
大体仏頂面
でもぜんぜん機嫌悪くない。口が元からへの字だけど、下唇ぽってりで超かわいい
すごく仏頂面な時
眠いだけ
食事中無言
ただひたすらにこにこしながら食べ続けてます。

あの子に彼氏できたら私その彼氏殴りそうな勢いで愛でてます(≧▽≦)
なにこの二次元でもいない萌え属性!

そして昨日、ト○イのバイトで受け持ってきた生徒のミラクル言動

複写紙編
ト○イでは授業報告を複写紙に書いて、一枚を個別教室のファイルに、もう一枚を生徒に渡しています。で、最後に教室長の先生にはんこ押してもらうんですが……
教室長の先生が紙めくった瞬間
生「うわー!同じのが下にもかけてるー!先生のペン魔法のペンだー!」
教室長の先生、肩震えてます。
教「K先生、教えてあげて……」
私「あれはペンの方がすごいんじゃなくて、紙に仕掛けがしてあるんだよー。」
生「魔法の紙!?」

中学一年生なんだぜ、この子……。
どんだけすれてないの!

そして、同じ子と息抜き中

確か大学の事聞かれてた時。私はもうすこーし威厳がないと頼りなさそうに見えるので、かっこよくなりたいと思っております。身長ももっとほしい!
私「先生男の子になりたいときあるんだー」
生「なんで?」
私「男の子体が大きくなるし、力も強くなるし、かっこよくなれるやろー?」
生「先生かっこいい彼氏おるやん。」
私「あははー、でも私がそうなりたくてね」
生「……先生今でも十分かっこいいと思います」

心臓打ち抜かれました。

2章 リシタ 4節 見殺しにした姉

 予感は的中、ノールは人間と敵対してしまった。単身敵陣へ斬りこむハルクに目いっぱいの防護魔法をかけた私は、攪乱作戦を実行するドウィンさんの隊に、救護班として参加している。
「マリー、いいか。安全な場所を離れるな。情けない話だが、単純な魔法の出力では、騎士団のヒーラーはお前に敵わなかった。自分の損失は他何十人もの命を奪うことになると忘れるな。」
「わかりました。」
返事をした瞬間、ドウィンさんは大きく目を見開いた。
「敵襲!敵襲!」
「なんだあの斧!」
「隊長、逃げてください!」
振り返れば、私の目の前には大きな体。両手に斧を持ったノールがいた。
『見つけた、見つけた。シャカル様もお喜びになるだろうよ。』
『私……の、こと?』
『そうだ。今日はついてるなあ?チーフテンがいなくなって、スケアドブラックの右腕になる。んでもって、裏切り者のお前も差し出せる。』
周りには、血を流す兵士達。このノールが欲しがるのは私。
『そう。それなら、どうぞ、捕まえて。あなたが捕まえられるかはわからないけど。』
ならば、取る行動は一つだ。このノールを隊から引き離すこと。
「マリー、何を話している!早く逃げろ!」
私を自分の後ろに隠そうとしたドウィンさんを押しのけて、走った。

2章 リシタ
4節 見殺しにした姉

 斧をガンガン叩きつけるしか能がないらしく、斧を投げるという考えに至らない相手だったのは不幸中の幸いだった。が、それより鬱陶しいのが弓を撃ってくるノールだ。先ほどから私の体に矢が刺さってくる。何故か肌に触れる前に砕けて折れるのだけれど。
『この、裏切り者が!』
『裏切った裏切ったってさっきからうるさいのよ。悪いけど、私記憶がないの。自分の名前がわからないくらいだから、何してたかなんて覚えてない。』
『貴様の種族は、昔から予言に反することを……』
『予言?変な宗教には興味ないから。』
『貴様、魔族と人間は相容れないと……!』
ノールが激昂し、冷静さを失ったところで、私はくるりと振り向いた。私が止まったことに喜々として斧を振り上げるノール。脇ががら空きだ。
「ファイアボルト」
手を翳すと、ノールは炎に包まれた。
 追ってきていたノールの群れもと目をやれば、地を這うような声がした。
「リバレイト」
何かきらめく独楽のようなものが、ノールを切り裂いている。赤い飛沫を散らしながら回るそれは綺麗で、ノールも呆けたように見つめている。そして、自らも飛沫を散らした。私の前まで来て回転を止めたリシタが、ぎらりと光る眼で私を見る。
「お前、何でそんなところまでマリーに似てんだよ。」
リシタの眉根が寄り、目にきらきらと涙の幕が張っていく。
「何で自分が犠牲になってまで人を助けようとするんだよ!」
膝をついたリシタは、地面に槍を突き刺し、涙をこぼした。

 俺が生まれ育ったのは、オルテル領の北端の村だった。いいところだった。そこそこ活気があって、子供も多くて、俺は家族5人で幸せに暮らしていた。そんなに兄弟がいるのかって?ああ、姉さんと弟がいたよ。弟はシルベリンっつって、1つ下なのに俺よりでかかった。姉さんがマリーだったんだ。お前に似てるよ。そうそう、近所にアイダンって王国騎士のおじさんもいたな。びっくりするだろ?
 その日も、なんてことなかった。俺達は家の仕事を手伝ってた。本当に、何が起きたかわからなかったよ。気が付いたら、アイダン隊長の娘が宙に浮いてたんだ。二足歩行の狼が、その子を掴みあげてた。何もできないうちに、その子の姉も殺されたんだ。周りでは大人も次々殺されていた。俺は逃げるしかなかった。
「リシタ、マリー、シルを連れて逃げて!」
って、母さんの声が聞こえて、とにかく隣の村に向かって走った。でも、マリーはそうじゃなかった。母さんを放せって、素手で奴らに向かって行ったんだ。でも俺は、立ち止まれなかった。逃げ続ける俺の横で、シルベリンも戻っていった。しばらくして、マリーが助けてって叫ぶ声が聞こえても、俺には足を止める勇気がなかったんだ。
 笑うだろ、お前に魔族だなんだと言っておいて、結局一番最初の人殺しは俺だ。せめてあの時、一瞬止まって、マリーに逃げろと言えばよかったんだ。それさえしなかった。マリーが走って行って、奴らが追ってこなくなったのは事実だ。俺はその状況に甘えて逃げたんだ。3歳のシルベリンでさえ、マリーを助けに戻ったのに。俺は家族を殺して、自分が生きようとしたんだ。

 だからマリー、もう無茶はするな、もう俺の前で死ぬなと、リシタは嗚咽を漏らしながら言った。横に座って背中をさすると、もっと涙を流した。
「カロックとか、ベラとかには、言うなよ。」
「知らないの?」
「こんな情けない話できるかよ。」
そう言って顔を上げたリシタは血塗れになっていた。
「ヒール」
ふわりとした光をあてると、あちこち切れたリシタの顔が元通りになった。同じように、傷だらけの腕や体も治す。
「いいって、ほっときゃ治る。」
「治りません。」
「もうやめろよ。」
「馬鹿じゃないの?」
わざと吐き捨てるように言うと、リシタが思った通りこっちを睨んだ。
「こんなしょうもない怪我でも、ひどくなると死んじゃうの。お姉さんを犠牲にして生き延びたんでしょ。何感傷に浸って死のうとしてるの?」
「感傷に浸ってなんか……!」
「浸ってる。俺可哀想オーラが出てる。いいから黙ってじっとしてて。」
背中の一際大きい傷に爪を立ててやった。ぎゃっと叫んで、縮こまる。おとなしくなったところで再生魔法をかけた。
「別に、感傷に浸るのが悪いとは言わない。でもそれに何の意味があるの。」
リシタがぎゅっと目を閉じる。
「うるせえ……」
「わかってるならもうちょっと頭使いなさいよ。」
がっと肩が掴まれる。でも痛いほどの力は入っていない。
「じゃあお前にはわかるのか?」
肩をなぞるように滑った手は、私の背中に触れた。
「俺は何をすればいい?何をすればマリーやシルベリンは帰ってくる?」
リシタの腕の中にすっぽり収まった状態で、私はぽんぽんと彼の背を叩いた。腕が締め付けてくる。
「どうすれば俺は、二人を忘れられるんだ。死ぬしかないだろ?もう楽しくなんて生きられない。面白いことがあっても、気分が明るくなっても、笑ってても、俺だけ笑ってていいのかっていつも思う。だからせめて、せめて二人を殺した魔族だけは根絶やしにしてやろうって……でも、それも間違いだったんだ……」
 私はゆっくり深呼吸して、口を開いた。
「私ね、何もかも忘れたわけじゃないの。私は誰か男の人と一緒に暮らしてた。……でも、結局私の最後の記憶はあの娼館の中だった。きっと私も攫われたのよ。一緒に暮らしてたその人は、私を置いて逃げたか、死んじゃったか、どこかで捕まってるか、何にせよ私を攫った奴らに負けたんだと思うわ。でもね、私その人を恨む気持ちは全くない。」
「そんなわけないだろ。」
「ただ、すごく会いたいの。」
リシタが息をのんだ。しばらくして、ふっと息を吐く。
「マリーに似た顔でそんなこと言わないでくれよ。マリーに言われてると思うだろ。何にも成し遂げてないのに自分を許しそうになる。」
「お姉さんも私と同じこと思ってるよ。そんな事件なんて起きなかったみたいに、一緒に暮らせたらそれでいいって。だから、きっとリシタにも同じこと思っててほしいと思う。」
「思ってるに決まってるだろ、マリー……」
彼は私の肩に頭を預けた。私をマリー本人だと思っているみたいに。リシタ、きっとお姉さんはもう十分だと思ってるよ。それだけ愛しているんだから。

2章 リシタ 了



長らくお待たせしました!
3章はカロックです!


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2章 リシタ 3章 心の決戦

 私を置いて、リシタは崩れていく階段の下へ走って行った。
「おい、お前何やってんだ!」
大剣を持った男が止めに入るのもかまわず、リシタは剣を構え、わずかに残っていた足場に突っ込んでいく。
「お前もそのガキと一緒に引っ込んでろ!」
彼の剣が最後の柱を切り崩した途端、嫌な揺れが襲う。見上げれば、鐘が、バリスタに縫いとめられた蜘蛛の上へと落ちてきていた。

2章 リシタ
3節 心の決戦

 あれからどうやって帰ったかは覚えていないけれど、気が付けば朝になっていて、起こしに来てくれたベラと食堂へ降りた。
「塔の上で何があったんだ?リシタがマリーをお姫様抱っこして降りてきたの見て、こいつ頭がおかしくなったかと思ったんだけど。」
自分よりでかい男がいるのにな、と笑うベラの後頭部に平手打ちが入る。
「ハルクはマリーが倒れたの見て動転して役に立たなかったんだよ!だからってあの上に置いて帰れってのか。」
リシタは下を向いたまま怒鳴り、遠くの席へ行ってしまった。そうか、私はあそこで倒れたのか。……待てよ、それをリシタが連れて帰った?お姫様抱っこで?
「素直じゃないな、血相変えてハルク追い越して塔に登って行ったくせに。」
「え?」
「マリーが塔に登って蜘蛛を誘導してたろ?それ見てバリスタで攻撃しようとしたんだ。地面でばたばたされるより戦いやすいからな。そしたらあの巫女さんが嫌がって……あのでかい蜘蛛、ペットなんだってな。」
ちょっとティイに対する敵意が和らいでいたけれど、和らげるべきじゃなかったと思う。
「仕方なし、傭兵団が歩いて登ることにしたのさ。でも、ノール……あー、二足歩行の犬だ……が、わんさかいて、ハルク以外全員やられた。それを見て私とフィオナはバリスタで討伐、カロックは怪我人救助、ハルクはティイと蜘蛛に会いに行く、って決まったんだがな、リシタはそんなの決める前にマリーを助けにすっ飛んで行ってたんだ。」
ベラは笑いながら、ジト目でこちらを睨んでいるリシタに手を振った。その横に座っている、リシタの倍くらいありそうな男が笑顔で手を振りかえした。
「というわけでマリー、仲直りの機会だ。今朝はあいつらと食べよう。」
正直嫌だ。何を話していいかわからない。でも、昨日朝から何も食べていない空腹感には逆らえなかった。

 リシタに何を言うべきか。
「ありがとう、助けてくれて。」
と正直にお礼を言うべきか、それともそれまでの無礼を詫びさせるか……
「いや、俺も悪かったよ。疑って。」
え、私今謝ったか。びっくりして見ると、リシタはうつむいたまま目玉焼きをつついている。その顔をベラがつかんで上を向かせる。
「おーい、リシター?謝るときはちゃんと目を見ろよー?」
「いいだろ別に」
「駄目だ。」
「わかったよ!もう!悪かったなマリー!」
敵意のないリシタの目は鷹のようで……自分でもどうかしてると思う、でも、きれいだと思った。
 この間蚊帳の外状態だった大男はハルクという。昨日大剣を振り回していた男だ。色白で、髪も目も銀色。炭とどちらが黒いかわからないリシタの横に座っていると、二人が同じ生き物だとは思えない。
「マリー、俺は怖くないのか?」
それがハルクの最初の質問だった。
「別に……牙でも生えてるの?」
「まさか!でもカロックがさ、体がでかすぎて怖がられたって言ってたから……。」
体の割に小さいことを気にする男だ。でも確かに、カロックを見るとびくっとしてしまうのに、ハルクは背が高いとしか思わない。
「私が横も大きいからだ。見目麗しいかどうかというところだな。はっはっはっ」
笑いながら横にドカッと座ってきたのはカロックだった。やはりのけぞってしまう。
「まだ慣れないか、マリー……。」
慣れろと言う方が無理だ。だってゴリラの大きいのがいるようなものだ。
「おいおい、こののっぽのガキよりカロックの方が男前だぜ、マリー。」
黙って首を振った。ベラは美的感覚がおかしい。誰がどう見たってハルクの方がイケメンだと思う。でも、カロックはそれで大いに機嫌がよくなった。
「じゃ、5人分飯とってくるよ。いや、カロックとハルクは2人前か。」
「ああ、ベラ、私はもう食べた。ハルクを呼びに来ただけだ。ハルク、ティイがお前を探していたぞ。」
「げっ、ティイか……。」
ハルクは思いきり嫌そうな顔をした。昨日あんなことがあったからだろう。ティイがバリスタを止めに入らなければ、蜘蛛と一戦交える必要はなかったのだ。いくらハルクが強かったとはいえ、あちこち包帯だらけになっていた。
「そう言うなって。傭兵なら傷ついて当然だぜ。」
リシタが同情交じりに言うと、ハルクはふるふると首を振った。体が大きい割に仕草のかわいい男だ。それほど年を取っていないのかもしれない。
「怪我くらい慣れてるよ。ただ、あの蜘蛛死んでティイめっちゃ泣いてたじゃん。鐘落ちてきた後俺止め刺したんだよな。」
見た目に反して意外と優しい少年ハルクは、溜息をつきながら席を立った。

 私を魔族扱いしたことを除けば、リシタはいい人だった。ただ、やはり私にはそれほど友好的ではない。というか、避けられている。朝食後命じられた傭兵団事務所の補修も、私とは違う場所に行きたがった。もちろん嫌がった時に、ベラに私を傷つけるようなことをするなと殴られていたのだけれど。
「リシタ、手伝って。」
そして今、私は避けては通れない道に来てしまった。力仕事。魔法でやろうとしたけれど、昨日の一戦で限界なのか、それとも神殿を建て直したのがいけなかったのか、屋根板一枚持ち上げられなかった。ハルクに頼もうと思って探したものの、ハルクは昨日鐘塔にいたノールの調査に行ったと美人の女性騎士に言われてしまった。カロックは既にもっと激しい力仕事に駆り出されてしまっていた。
「え、ああ、何だ。」
リシタがぎこちなく微笑む。嫌われてはいないらしい。
「屋根板持ち上げられない。屋根の上まで上げてくれる?」
「そっか、まあ、あれだけ魔法使えば疲れるよな。今行く。」
それどころか、優しい。ベラやフィオナに対するより優しい。
「リシタは疲れないの?」
「え?まあ、塔登って足場崩しただけだからな。そういえば……落ちた時怪我しなかったか?あのまま足場ごと落ちたら助けられないと思って、マリーがしがみついてた段切り落としたんだけどさ。」
あの双剣はリシタのだったのか。
「うん、大丈夫。ありがとう。」
「ははっ、ならよかった。」
もうすぐ秋なのにまだまだ暑くて、リシタはシャツで汗を拭っている。腹筋は色も相まってチョコレートに見えるくらいバッキバキに割れていた。これだけ鍛えれば疲れないのかもしれない。背もチビチビ言われている割に私よりは高くて、ベラにいじられるほど頼りないわけではなさそうだった。
「私の事嫌いじゃないの?」
屋根板を手に取ったリシタに聞いてみる。と、リシタは屋根板を落とした。
「そんなわけないだろ!マリーの事嫌いになるなんて!」
「え?」
「あ、ご、ごめん……」
急に大きい声を出されてびっくりしたけれど、リシタの方が動揺していた。
「嫌いじゃないさ。お前のこと敵だと思ってただけだからな。」
ベラは、マリーはリシタが呼び間違えた名前だと言っていた。おそらくリシタが会いたがっている人だと。リシタは小さいころに村を焼き払われたと言っていたから、だとすれば、もうその人はこの世にいないんだろう。
「お前こそ、怒ってないのか。俺の事嫌いじゃないのか。」
「……うん、嫌いじゃないよ。」
縋るように聞いてくるリシタを傷つけないように、私も笑って返した。これだけ思われていた人なら、きっと幸せだっただろうし。思いが吹き抜けていく横に立っているだけの私は、少し心が痛むけれど。
 ふと視線を感じて下を見ると、ハルクがいた。大きい体で肩を落とし、眉もハの字になっている。
「どうしたの、ハルク。」
「いや、ちょっとさ……。マレックに怒られたんだ。」
「あんな奴の言うこと、気にすんなよ。」
先程までとは打って変わって、リシタは元気よく答えた。板を担いでひょいひょいと屋根に上り、そこに胡坐をかく。
「で、何て怒られた?」
ハルクも屋根に上ろうとしたが、梯子がきしんで慌てて降りた。
「ドウィンさん、あの美人な女性騎士ががいただろ。その人に、北の廃墟にノールがいないか調べて来いって言われたんだよ。で、行ったらマレックに騎士団の犬かってブチ切れられた。」
「そんな落ち込むなよ。思い出せ、あいつそうやって偉そうに言ってるけどさ、昨日何か役に立ったか?ハルク以外の傭兵全員塔に入った瞬間やられたじゃねえか。どうせ、実力不足で騎士になれなかったんだろうさ。」
「リシタ、マレックが聞いてたらどうするの。」
「お嬢さんの言うとおりだ、色の黒い傭兵。」
後ろから声がして飛び上がる。
「私もあいつとは話が通じないが、人の口に戸は立てられんからな。慎め。」
見上げれば、ハルクはいないと教えてくれた騎士だった。
「お嬢さん、屋根は直ったか。まだなら力を貸そう。」
「大丈夫です。リシタがやってくれました。」
「そうか。何か困ったことがあれば来るといい。記憶を失くしたと聞いたが……不自由なことはないか。」
優しくて、美人で、かっこよくて、言葉遣いが丁寧なベラみたいだ。
「はい。名前も付けてもらいました。」
「何と?」
「マリーです。」
「マリーか。覚えておこう。私はドウィン、王国騎士だ。」
ドウィンさんは、私の頭にぽんと手を載せて微笑むと、宿屋へ入っていった。ハルクが目をこすっている。じーっとドウィンさんの後姿を見て、またゴシゴシ。
「え、あの人あんなに優しかったか?てか俺にはあんなに優しくないんだけど。」
「ハルク、お前が誰かに優しくされてる図は気持ち悪いだろ。身長2m越えの大男を甘やかして何が楽しいってんだ。」
「いや、ケアラにもきついってば!唯一人間らしく扱われるのアイダン隊長だけだよ。」
ああだこうだ言う二人を見ながら思った。この二人だけは一生可愛がられないだろうなって。

 それから数日、私は色々な人と触れ合い、名前を覚えてもらった。ドウィンさんが普段怖いのは本当らしい。お使いで傭兵団事務所に顔を出すと、いつもドウィンさんが微笑みかけてくれるけれど、それを見たマレックとケアラもハルクと同じ反応をしていた。他にも可愛がってくれる人はたくさんいる。羨ましいぐらいの胸の谷間を豪快に出した、トレジャーハンターのアネストさん。鍛冶屋に寝泊まりしているようだけれど、鍛冶屋のファーガスさんより主導権を握っている感じがする人だ。私が行くと、よく来たわねかわいこちゃん、と私の頭をバインバインな胸に押し付けてくる。嫌味か。冒険家商店というよくわからない店に行くと、どことなく辛気臭いカースティーさんがいつも物憂げな微笑で見てくる。自虐ネタばかり言うのはやめてほしい。ネタでなくただの自虐なので気分が暗くなる。魔術師の家には、偏屈のブリンという男と、いつもフードをかぶっている男がいる。ブリンは性格が悪いわけじゃない。ベラ曰く、ツンデレというものらしい。フードの男は、私が行くたび凄まじい殺気を放ってくるので嫌いだ。宿屋には、蜘蛛大好き天然少女ティイと、育ての親のエルンワスおじいさん、そしてローブを着て変装したつもりの猫がいる。何に変装しているのかはわからないが、オレンジ色の猫だ。触るとふわふわして気持ちがいい。
 私をいつも大歓迎してくれるのは、雑貨屋だ。今日も入るなり飛びついてきたクローダを引きはがすのに5分かかった。離れた頃には、クローダの新作であろう服に着せ替えられていた。店主のアイリエさんも、最近やってきたというフェネラおばさんも、何でもないような顔をしてみているけれど、抱きついている間に服を脱がせて着せ替えるなんて変態のすることだ。
「やっぱマリーは何着せても可愛い!私の腕がいいのかな?」
「あー、そうだと思う、たぶん。」
クローダはクローダで鬱陶しい。ティイとは違う鬱陶しさだ。でも今日の服は可愛いと思う。期待した目で見てくるので言ってあげた。
「これは可愛いと思う。」
「よかったわね、クローダ。ハルクにかぶせてた生々しい帽子だったらどうしようかと思ってたわ。」
一体何されたんだ、ハルク。帽子については聞かない方がよさそうだと、溜息をつくアイリエさんを見て思った。
「ハルクって野獣!って感じするでしょ!すごく似合ってたもん!」
「ああ、そういえば、ハルクという子はとても強いんだってね。」
フェネラさんは上手くクローダを黙らせながら話題を変えた。
「そうなの!何をお願いしても持ってきてくれるんだよ!赤いノールの皮お願いしたんだ。」
お前は黙っとけ、クローダ。というよりちょっと待て。赤いノールはノールのボスだとカースティーが言っていた。
「それは無理でしょ。ノールチーフテンはノールのボスだよ。ノールと戦争でもしないと手に入らないし、戦争になったらまずそんな余裕がないよ。」
「えー。」
頬を膨らませているクローダを、無性に引っ叩きたくなった。アイリエさんもきょとんとしている。
「戦争は、何かを殺さなきゃいけないのよ。それがハルクにどれだけ負担になるかわかってるの?」
「マリー、怒ってる?」
「これが怒ってなくて何なのよ。ティイもクローダもアイリエさんも、平和ボケしすぎてる!」
思わず大声を出した瞬間、遠くで角笛が聞こえた。緊急招集命令だ。
「ノールの皮を手に入れるためには、ノールを殺さなきゃいけない。クローダ、貴方達の望みは、そういうものだということ、忘れないで。」
外へ出て、傭兵の慌てぶりを見て、嫌な予感がした。嫌な予感だなんて、つい数日前、私は何十人も殺したのに。さっき言ったのがきれいごとだなんて、わかっている。でも、実際に手に掛けない部外者が、利益のためだけに、何も考えず殺生を命じるのは、絶対に間違いだ。

 最近、そういうことばかり考えるの。宿で、何匹殺しただ何を手に入れただ、頭の悪い傭兵が英雄ぶって言うたびに。
『世の中の英雄と言われる人達の殆どは、ろくに考えもせず、自分に指一本触れてない相手を、触れさせないまま殺すだけで英雄と言われてる。』
『ただ相手が『敵』だから、深く考えもせず殺したのよ。』
フィオナが言った言葉を思い出すの。


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英雄さん達と、変態

 最近、操作性が良くてイケメンでイケボと絶好調の雪冷ことうちのハルク君。

イケメンハルク

 渋い男に目のない苺さんもちゃっかりロックオンしてます。

守るよ

龍獄「雪冷、貴様14で女を口説こうとはどういうつもりだ。」
雪冷「別に、おじさんに怒られるようなことしてないけど?苺さん可愛くって美人で抱きしめたくなっちゃっただけさ。」
龍獄さん、あなた何が言いたいか大体わかりますよ

ちょっと、まって

そこはあなたの場所だって言いたいんでしょ。
雪冷「おじさん、二股だったんだろ?前は調子よくキスする5秒前みたいな絵あげてたくせに、この間のステンドグラス、お相手がKEIKAに変わってたじゃん?苺さん傷ついたと思うぜ?」
龍獄「絵は絵だ。第一、お前と苺さんが釣り合うと思うのか?」

ハルク亡骸1
ハルク亡骸3
ハルク亡骸4
ハルク亡骸5
ハルク亡骸2

龍獄「お前はあくまで白壱(リシタ)と同じ、倒れた時のエロさと声のエロさ要因だ。」
雪冷「おじさん、倒れる時の声が色気なさすぎって言われてたろ。」
白壱「おい、二人とも目を覚ませ。特に雪冷、お前自分の身は自分で守れ。
   こんな写真撮られる=狙われてんだぞ。
   特に、お前が甘い雰囲気だと思い込んでる苺さん、お前が倒れた後ハァハァしてたんだぞ!
   んで、龍獄!最近外に出られなくてイライラしてるみてーだが?
   お前が主役の小説書いてもらっといて贅沢言ってんじゃねーよ!」
白壱、やきもちですか?
心配しなくても、倒れる声で君の右に出る者はいませんよ。
白壱 ∑
雪冷「嘘だっ!」
え?
雪冷「だったら、なんで俺だけ……俺だけ、一撃16しか入らないコボルドに死ぬまで殴られ続けたり、息が上がるまでジャンプし続けたりしなきゃいけないんだよ!」
龍獄「雪冷。」
雪冷「へ?」
龍獄「それは、俺達二人も通った道だ。」



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